現代の食の神に感謝する儀式 現代の食の神に感謝する儀式
現代の食の神に感謝する儀式

現代の食の神に感謝する儀式

Express gratitude to god of modern food for ceremony

    その年の収穫を感謝する祭儀である「新嘗祭」や重要無形民俗文化財にも指定されている奥能登地方の「あえのこと」など日本には古くから五穀の収穫を祝う風習がある。そのような祭儀を執り行う際、祭主は自宅に祭壇を設置し、供え物をして神をもてなす。古来から屋敷と祭儀は深い結びつきがある。屋敷を利用した展示なので、何か祭儀を模倣した作品を制作したいと考えた。前に述べたような祭儀は時代の流れとともに減少している。農家ではない現代人がもし食の神に感謝する祭儀を行なうとしたら、きっと身近な食べ物に感謝するだろう。例えばファーストフードやコンビニ弁当など。作品では祭壇を制作し、そこに現代の食べ物をお供えして展示する。展示の初日と最終日に食の神に感謝の意を告げる言葉の読み上げや舞いなどを披露し儀式を執り行うパフォーマンスをする。大切な祭儀を保守していこうとする情熱や儀式特有の緊張感と時代の流れとともに簡略化されていく祭儀の内容との矛盾から生まれる滑稽さや物悲しさを表現したい。


  Japan has a long tradition of ceremonies intended to express gratitude to the gods for harvest bounty. Were contemporary people to continue such ceremonies today, we would probably express our gratitude for things like fast food and shrink-wrapped meals. We want to explore the absurdity and melancholy inherent in the resulting contradiction, between the sincere desire to give thanks and the contemporary pressures of commodification and rationalization.

2010